※この記事は執筆時点での最新号までの内容のネタバレを含みます。ご了承の上お読みください。
2021年10月13日(水)発売の『週刊少年サンデー』46号にて掲載されている『葬送のフリーレン』第69話の感想です。
前回の話は勇者ヒンメルが魔王退治の旅路で苦難の道を通った理由について。故郷を大切に守り続ける人たちに触れたことは、そんな故郷を失ったシュタルクに何を残したのでしょうか。
前回の感想について詳しく知りたい人はこちらをチェックしてください。
今回は勇者たちが手に出来なかった伝説の美酒についてです。テーマは「物の価値について」と言った感じでしょうか。誰かにとっては他愛もないことだったかもしれないけど、別の誰かにとっては重要な意味を持つ事もある……と、そんな話になっています。
今回の舞台は北部高原のビーア地方。お酒の話だからなのか、そのまま「ビール」って意味ですね。そんなお酒の街で伝説の美酒と呼ばれる皇帝酒を探し求めるドワーフのファスと80年ぶりの再会を果たします。人間の一生に近いような歳月が経過しているのですが、そうは思ってないようなのが感覚の違いを思い知らされます。
彼を皇帝酒探しに駆り立てたキッカケは最上の名酒だと記述してある碑文を見つけたからでした。フリーレンは碑文の主に心当たりがあり、そのせいか今回の件には乗り気じゃありません。
フェルンとシュタルクが長居を嫌がるのを理由に貯蔵してある石室の扉にかけてある封印を解除するのを断るほど。多分、本当の理由は割りに合わないのを知っていたからじゃないかという気がします。
しかし世の中は金なのか、フリーレンは報酬を目当てにしたフェルンとシュタルクに説得され引き受けることになりました。でも、報酬が一見どうでも良い魔法が書かれた魔導書だったらフリーレンもつられてしまったかも。
皇帝酒の正体はフリーレン曰く「即位式の時に配られた最低の安酒」です。碑文はフリーレンと同じ里に住んでいたエルフのミリアルデが暇つぶしに掘った物でした。そこに意味なんてものはありません。
かつてハイターは皇帝酒について、それとなく「とんでもなく不味かったら」という話を聞いたフリーレンに「笑い飛ばします」と返答。「騙された!」と怒ったり「人生を無駄にしてしまった」と絶望したりとネガティブな感情ではなく、それをポジティブに笑いに変えて楽しめば良いという人生観は道を説く人に相応しい答えだと思います。
ハイターの言葉を思い出したフリーレンはシュタルクを巻き添えに、ファスも感化されて町のみんなに配って道連れにすることを決めました。ファスにとって皇帝酒は期待したような酒ではなかったものの、住民たちと盛り上がった出来事はかけがえのない価値を持つものでした。ミリアルデにとっては「価値もないゴミ」だったかもしれませんが、考えかた次第で正反対に変わるのは面白いですよね。
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